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映画レビューどす。ネタばれありーです。
「光の雨」(2001 日本) 監督 高橋伴明 出演 萩原聖人 裕木奈江 山本太郎 大杉漣 若手映画監督である阿南(萩原聖人)は「光の雨」という映画のメイキングを依頼される。この映画はCMディレクターである樽見(大杉漣)の初監督作品だ。劇中の組織の幹部、上杉(祐木奈江)や倉重(山本太郎)たちがキャスティングされる。彼ら20名以上の若者たちはそれぞれ革命戦士の役を演じようと試みるが当時の若者の行動が理解できずに苦悩する。そんな中、監督の樽見が突然姿を消してしまう。果たして映画は無事完成するのだろうか・・・。 有名な連合赤軍のリンチ事件のお話。劇中劇っていうスタイルがとられてて、最初はそれが「なんで?」って感じやったけど、観ていくうちにその意味がわかった。 この映画がもし普通に赤軍の内部を描いたストーリーやったら、観ている側は彼らのことを「頭のおかしい自分とは別の世界にいる奴ら」って思うやろう。 この作品で伝えたかったことは、彼らの社会的な「罪」ではない。 それはもう自明のことだから。 それよりも、今の僕らからみて彼らの気持ちにうなずけるところがあるということを、劇中劇の役者が代弁してくれているのだ。 彼らは革命をおこしたかった。全ての人が幸せになる世界をつくりたかった。 今こんな考えを持っているやつがいたら、間違いなく危険人物扱いだろう。 ただ、この時代、色んなものに縛られていたこの時代にはそういう考えがうまれやすかったのかもしれない。この映画を観て思ったのは、自分がこの時代に生きていたらはたしてどういうアクションを起こしていたのかということ。 漠然と感じている「何かを変えたい」っていう思いが、今では考えられないようなかたちになって表れていたのかもしれない。なんか怖くなった。 彼らはただのいかれた思想家ではない。怒りや、喜びや、理想や、恐怖といった、みんながもってて当然の感情を彼らも持っていたのだ。 ただ、ほんの少し、どこかでベクトルが狂ってしまった。 感じていた絶望や、恐怖といった感情が、同じ志を持つ仲間を傷つけるっていう一番不合理なかたちで表れてしまったのだ。 別に自分は彼らを擁護するつもりは毛頭ない。革命とか言ってて仲間殺すとかほんまありえんと思うし。 ただ思ったのはこの時代はいろんなことが不自由だったっけど、みんなのむかうところはだいたい同じだったからそういう意味で自由だったかもね。 今は自由だけど、自由すぎて身動きとれない。時がある。 そういう意味では不自由なのかもね。
by clock-work-apple
| 2005-07-18 20:23
| 映画
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